建築設計施工監理
株式会社 針生承一建築研究所
針生承一
OASiSのデザインコンセプトはどのように固めていったのでしょうか?
建設場所は、仙台市中心部から2km圏内の閑静な住宅地で、梅田川の清流と台原の環状緑地が近接する非常に自然に恵まれた住みやすい好環境です。そこで、敷地全体の緑地の中で映える白色+パールの疎水剤仕上げのモノリシックなコンクリート打放しをベースに、庇下には黒系塗材を用いて外部全体をモノトーン構成の静謐かつ品格のある佇まいを意匠としました。
施設形状も特徴的ですね。
豊かな緑に囲まれた低層集合住宅を梅田川の流線に沿わせ、雁行させながら施設配置を計画しました。高層、超高層化が進み都市砂漠ともいえる過密な市街中心部の喧騒から一歩離れた先に出会う、まさにオアシスのような集合住宅がイメージできると思います。
建物へのアプローチからすでに特別空間が漂っています。
隣接する市道からのアプローチは、道標となる六方石(ろっぽうせき)からロートアイアンのゲートをくぐり施設エントランスへと続きます。そして、エントランスからラウンジ、ピアノのあるスタジオなど、一般的な住空間と一線を画す優雅な雰囲気を感じながら3層構成の住居につながる「みち空間」(1、2、3階廊下)へと導かれます。みち空間を通り、住戸入口に面するとアルコーブとしてポーチがあり、プライバシーの保護に考慮しつつ、賃貸住宅でありながら戸建の感覚で入室することができます。ポーチ空間は玄関ドアの衝突防止にもつながり、利用者の安全性にも配慮した設計です。
各住戸の特色を教えてください。
まずは住戸の3分の2がメゾネットタイプなのでプライベート空間をより感じることができるつくりになっています。加えて各居住者の方々の様々なライフスタイルやアクティビティに対応できる間取計画にしています。収納機能も充実させ、玄関収納や布団収納、ウォークインクローゼット、全戸にトランクルームを設けたほか、宅配対応しやすい置配ボックスも据え付け、生活しやすさを追求しています。内装に関しては居住者の生活空間がより美しく見えるような、外観と統一性のあるモノリシックなカラースキームで提案しているところです。
コロナ禍を経た新たな生活様式を取り入れた内容にもなっていますね。
コロナ禍によってテレワークやオンライン会議など新たな働き方が浸透していく中で、居室にSOHOスペースが確保できる自由度を持たせた間取りとなるよう工夫しています。さらに、居住空間を十分に換気できるよう全戸ロスナイ対応とし、誰もが快適に暮らしやすい住まい環境を目指しました。そのほか、エントランス、住戸玄関、エレベーターはカードキーなどによる非接触操作対応としており、感染症対策も図っています。
建物の安全性も住まいを選ぶ大きな選択基準のひとつとなりますが、地震災害への備えなどはいかがでしょうか。
もともと梅田町は地盤がよくOASiSも強固な支持層の上に建設されていますし、さらに耐震構造の建物ですから安心安全な集合住宅と言えます。ソフト面でも災害時に備え、飲料水や非常食を備蓄する防災倉庫の設置も提案しています。
OASiSは仙台市内では数少ないドッグランが併設した賃貸マンションです。大切な家族でもある愛するペットと一緒に過ごせる優しい住まいづくりになっており、そこもOASiSの大きな魅力ですね。
OASiSの植栽計画の一環でドッグランに隣接して日除けも兼ねたパーゴラを配置していますし、共用部にはペット用の足洗い場を設けたり、全戸にペット用ドアやトイレ置場を計画したりと、ペットと日ごろの疲れを癒すひと時を快適に過ごしていただけるような内容を設計に盛り込んでいます。ぜひペットと一緒の時間を充実して過ごしてほしいと思います。
最後に完成に向けた思いをお聞かせください。
豊かな自然に恵まれ、四季折々の表情を楽しみながら健やかな生活を送ることができる優れた集住空間の構築を目指していますが、これから躯体工事が本格化していくことでそのイメージが徐々に形となって表れてきます。工事監理を通じて高品質な住宅の提供を実現し、皆様に永く愛され、住み続けていただける建物となるよう邁進していきます。